試験会場は、昔の地元

 正確には違うのだが、ゆかりの地を通ったので。朝バスで開場まで向かったのだが、周りの風景が、微妙に変わってなくて、でも確実に変わってた。
 正直なところ、高校時代にあまりいい思い出はない。当時の彼女と、長く付き合ってた割りにあんましうまくいってなかったってのもあるが(それは結構自分のせいでもある)。それでも、時間というのは人を形作る。それらの思い出も、自分のパーツの一部になってるということを改めて感じた。
 そういや、その彼女は今どうしてるのか。別にノスタルジーに浸るつもりもなかったが、そういう時の御用達ツールであるmixiに問い合わせたが、それっぽいのはいなかった。ま、いいや。更に話は逸れるが、同じ学校の同学年の奴とmixi上で殆ど出会わない。俺の年代は所謂「Y世代」の人間だから、デジタルディバイドなんかとは無縁のはずなんだが。
 話を戻す。試験が終わって、バスで駅前まで戻ってから、ぶらりと街を歩いてみた。なんか、細かいところが色々と変わっていた。まあ、店が変わったくらいならよくあることだし。でも、雰囲気も、あの時感じていたほどのものではなかった。単純に、都心の喧騒を知ったからか?
 帰りの電車でも外をずーっと眺めていたのだが、その多くは、工事現場でよくある仕切りで遮られていた。さながら、俺が思い出に浸ろうとするのを妨げるかのように。
 結局のところ、俺は過去から切り離された存在なのか。いや、自分で過去を切り離してしまったのか。