ぱっぱら〜〜、ぱっぱらっぱ〜〜

 そんな似てないファンファーレはともかく、「スーパーマン リターンズ」を見てきました。多分、映画館っつーものに入ったのは8年ぶりくらいかも。
 前作の公開からそろそろ20年経つのに、設定では第2作の5年後ということになっていたのに少々面食らったが、まあスーパーマンとルイスの関係が完全に離れるギリギリかなぁ、と。この映画がどれだけいいかについてはうまく言えないけど、「悪い」ということは決してなかった。ブランドン・ラウスは今まで無名だったとはいえ、『スーパーマン』という存在を見事に表現できてると思う。ただ今後、彼にはこれしかオファーがこないとかいう事態にならないかが心配だが(ジュリー・アンドリュースのように)。
 「スーパーマン」は、元が1930年代のコミックだったこともあって、割と単純明快な勧善懲悪タイプの映画じゃないかと思うんだが、この映画からは少し違う印象を受けた。レックス・ルーサーは基本的に「悪」に属しているはずだが、今までの「悪役」とは何か違う。彼はどこかビジネスライクに考えていて、「スーパーマンに敵対してるから悪者」という印象さえ持った。恐らくこれは、1930年代と2000年代の「悪」の定義が変わってきてるのが大きいのかな、と思った。また、この映画では複線を張りまくっていて、あと数十年はスーパーマンシリーズを作れそうな展開に持ち込んでるけど、同時にスーパーマンは「姿無き父親」という像を常に見せていかなくてはならないし、もう少し考えを進めると、仮にそれを示すことができたとしても、じゃあそれなら「家庭」というのは何なのだろうか、という根源的な問いに突き当たる。んで、もうちょいメタに考えると、人間関係の中の善悪について、スーパーマンはどう介入していくのだろうか。その向こう側にある苦悩が垣間見えるからこそ、今までの勧善懲悪が少し薄らいで見えてしまったのかもしれない。そして、恐らく作られるであろう続編は、そうした人間関係における善悪が少しずつクローズアップされていくように思う。