「四季 夏」読了

四季 夏
四季 夏
posted with amazlet on 07.01.30
森 博嗣
講談社
売り上げランキング: 134487
おすすめ度の平均: 4.0
2 さまざまなストーリーを無理して繋いでいる意味は?
3 よく分からないが、それなりに面白い
1 四季シリーズ意味不明
 これといって「あっ」と思うところはなかったかな。「すべてがFになる」で触れられていた過去の話だから、大枠は分かってるし。
 多分殆んど関係のない話だが、以前テレビで、インドで医師を志す天才少年をしばらく近く追いかけていたのを思い出した。なんとなくではあるが、今作で描かれている真賀田四季とその少年の発言がオーバーラップする。真賀田は、恐らく知能的には驚異的に高いだろうが、一人の人間の成熟度としてはどうなのだろう、とぼんやりと想像をめぐらす。恐らく、価値を相対化することができ、論理的に何らかの帰結が可能なものに関しては、彼女の右に出る者はいないだろう。が、この世界にはそれだけしかないのだろうか、と、つい考えてしまう。因みに例のインド少年は、少年期に養うべき能力が欠けているということが指摘されていた。なんとなく、真賀田からも似たような匂いを感じとってしまう。ただ、さっき言ったような辺りになると、そろそろ森博嗣のフィールドから外れてくるので、そういう思想に触れたければ、他の作家に頼る方がよい。ジャズ的に言えば、Miles DavisHank Mobleyを同時に褒めるようなものだ。俺はそれでいいと思っている。
 微妙に話を感想に戻すと、抜け駆けでこれを読んだのは、ほんの少しではあるが瀬在丸紅子が出てくるので、このVシリーズの主人公がどのような人物なのかを確認したい、という動機があったからだ。印象としては、S&Mシリーズと共通するものがあるので、スムーズに移行できそう。