「黒猫の三角」「人形式モナリザ」読了

黒猫の三角―Delta in the Darkness
森 博嗣
講談社
売り上げランキング: 41083
おすすめ度の平均: 4.0
3 密室の森博嗣
3 保留
5 カミュに通ず
人形式モナリザ―Shape of Things Human
森 博嗣
講談社
売り上げランキング: 45203
おすすめ度の平均: 4.0
4 モナリザ
5 謎のたたみかけ・最後にちゃぶ台返し
3 登場人物は好きになれないが、読めないという事もない
 遂にVシリーズに突入。この2作を読む限り、S&Mシリーズじゃ書けないことに焦点を当ててる気がする。一番それがよく出てるのは、紅子と林の「オトナな関係」だろう。S&Mでは、新キャラを用意しない限り、そんなシーンはありえない。
 実は、背後関係については既に知ってしまっているので言うことだが(まさに耳年増)、恐らく時代は1970年代後半あたりだろうと思うのだが、その辺の時代感がイマイチ出てない気がする。森博嗣の年齢は母親の一つ下(確か)なので、その時期の彼は丁度大学生くらいだったはず。恐らく、書けないことはないと思うのだが…。
 内容的には、小鳥遊や香具山といった(知能的に普通の域の)大学生でも理解できるように話を進めていくので(トリックの難しさとは関係ない)、S&M程の読みにくさはない。恐らく、S&Mの完全に学術よりの分析・解説に慣れた(若しくは慣れてしまった)人なら、このシリーズはどうも満足できないかもしれない。
 そういや、森博嗣の作品を読んできて、初めて答えあわせ前に(不完全ながら)わかったものがあった。それは、人形のモナリザのこと。やっぱ彼の作品はどれも、分かる人には分かるように作ってあるんだな、と感心してしまった。が、今まで全然分からなかったのにここへきてそういうのが出てきたということは、彼自身、殆んど出血大サービスくらいの気持ちで書いたのかもしれない。となると結局、俺は彼の手の平で踊らされていただけなのかorz