「思考する機械コンピュータ」読了

思考する機械コンピュータ
ダニエル ヒリス W.Daniel Hillis 倉骨 彰
草思社 (2000/10)
売り上げランキング: 117,105
おすすめ度の平均: 4.67
4 シンキング・マシンは実現可能だが、理解不可能!
5 コンピュータの動作の背景にある根本的な概念や考え方を説明
5 ヒリスならではの、見事な解説
 む、むず…。著者が天才過ぎて、イメージしきれましぇん。まず第1章から、10歳くらいで電球とスイッチを使って三目並べのゲームを組み立てた、とか。シリコンチップの動きもそのときの体験が基になって、スイッチのON・OFFでガシャコンガシャコンとやってるのが想像できるとか。でも、やもすると(ソフトウェア)エンジニアですらそうしたシリコンチップを魔法の石のように扱いがちなのに、「単純な仕組みが幾重にも積み重なってるだけだ」「原理的には棒と糸、もしくは水路とその調節弁でも『計算』は可能」と喝破してるのは目からうろこだった。恐らく俺の世代の多くは、コンピュータってのはOSが動いてナンボ、というガチガチな考えがこびり付いてるはず。「え、Windowsが動かない『コンピュータ』って何?」みたいな。もちっというなら、所謂マイコンIntelのCPUは、原理的な面から言えば何の変わりもない、ということに気づきにくい。自分としても、もっと考え続けて、せめてその固定観念だけはなくすようにしたい。
 これ、大学の授業での副読本としては最高。たとえば「情報理論」と「論理回路」と「プログラミング通論」の複合とか。講師は理論的な面や、発見者なんかのことしか言わないから、じゃあそれが実際どう使われてるとかが見えてくると、理解度も違うんじゃないかと思う。
 そういや、この著者は「Logo」という(主に教育用)言語の開発者らしい。最初は「ふーん」で済ましていたが、Logoを覚えている人ならお馴染みのあの亀を見た途端、「あーーー!!!」と心の中で叫んでしまった。とゆーのも、俺が小学校に上がるか上がらないかくらいの時に、実は少し”触っていた”言語だった。クォーテーションをつけたのは、結局何もやってなかったから。ませた言い方をすれば「こうすりゃそうなることはわかったけど、じゃあそれで何すればいいの?」と。…、この時点で既にダメダメなんだけど、俺。でもまあ、最近やっと「とりあえずやってみるか」という気持ちを持てるようになったし、結果オーライということで(笑)。有難うヒリスさん、俺の失われた記憶を一つ思い出させてくれて。