「シッダールタ」読了

シッダールタ
シッダールタ
posted with amazlet on 06.08.24
ヘッセ 高橋 健二
新潮社 (1971/02)
売り上げランキング: 12,113
おすすめ度の平均: 4.69
5 思想を超えて美しさに陶酔した
5 悟れないことを悟れ
5 自己実現をテーマにした芸術作品
 是非とも言いたいことがある。自身の宗教観は、ほぼこれに集約できると。最終章の「ゴーヴィンダ」は、ある意味答え合わせであり、種明かしみたいなものだろう。あー、先週話していた友人に是非薦めたい。あの時はうまく言葉に表せなかったが、俺が言いたいことはこういうことなんだ、と。
 うーん、何かを言おうと考えれば考えるほど、その無意味さが増えていっている。とりあえず言いたいのは、「自分は無宗教だ」と言って憚らない人にこそこれを読んでもらいたい。宗教性の本質が見えてくるし、心の中に常にいる「なにか」の存在を無視していることは、自身の心を干からびさせていくだけだ。
 一つ気がかりなことは、訳が定評のある高橋健二氏ではなかったことか。俺が読んだのはつい最近翻訳されたもの。この訳もすばらしくて、何ともいえない空気感を感じさせてくれるものだったが、高橋氏ではどのようになるのだろう。