People In The Box "Family Record"

 気づいたら、iTunesでのPeople In The Boxの曲の再生回数が全て1000回を突破していたので、記念に書きたかったことを書いてみる。
 People In The Boxは、かなり音楽の好みが偏っている僕(と自分で思ってる)が相当気に入ってるバンド。
 10/6に発売した”Family Record”は、フルアルバムとしては通算2枚目、メジャーへの配給が始まってからは初。

"People In The Box"というバンドについて

 「残響レコード以前」については分からないので言及は差し控える。こちらを仮にも黎明期とすると、残響レコードに参加以降は、サウンドの方向性は一期、二期と言える程、大きく二つに分けられる。
 一期は、中山敦史氏がベーシストとしていた時期のもの。個人的に思うこの時期のサウンドの特徴は、キレイなメロディとコード進行に対して、エグい歌詞とそれに呼応するように非言語的な凶暴性を備えたリズム隊、というもの。もうちょっとベースについて細かく言うと、プレベを多用し、またオーバードライブもよく使用しているっぽいので、ミックスバランス的に音量は大きめで、少し音像はボケるが、音は太い。ベースラインは、全体的にタイム感は大きめだが、締める部分ではきちんと締めるので、メリハリがついていると思う。
 この時期の個人的なオススメベスト3は、

  1. 鍵盤のない、("Rabbit Hole"収録)(10/9時点で再生回数は1154回)
  2. レントゲン("Bird Hotel"収録)(10/9時点で再生回数は1250回)
  3. She Hates December("Rabbit Hole"収録)(10/9時点で再生回数は1179回)

rabbit hole
rabbit holepeople in the box

おすすめ平均
stars箱に入ってる場合か!
starsこんなバンドを待っていた
starsゆっくりな

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Bird Hotel
Bird HotelPeople In The Box

おすすめ平均
stars演劇的な独自ロック
stars白昼夢の創作
stars5じゃ足りない
stars独自性

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 二期は、中山氏脱退後、福井健太氏加入後となる。一期の「非言語的な凶暴さ」は若干薄れたが、うまくソフィスティケートされた印象。少しテクニカルになったとも言える。やはりここは、福井氏のベースラインや立ち位置に特徴があると思う。中山氏と違い、メインがジャズベのためか、エッジは立つが、音は少し細く聞こえる。ベースラインは、タイム感は短めでタイト、畳み掛けるように細かいフレーズを繰り返すのが特徴(「日曜日 / 浴室(Ghost Apple)」「天使の胃袋(Sky Mouth)」なんかでよく聞けると思う)。そういえば、あからさまな変拍子(7/8拍子とか13拍子とか)も少し影を潜めた気がする。3拍子→4拍子みたいなエグいことはやってるけど。

アルバム"Family Record"について

 個人的には、"Ghost Apple"も"Sky Mouth"も物足りない気分だったので、今回の"Family Record"は、やっと二期のサウンドが確立したような印象を受けた。なので、無理してるような部分がなく、とても聴きやすい。あと、「金曜日 / 集中治療室(Ghost Apple)」に一部モントゥーノが入っていて「へえ」と思っていたのが、このアルバムではあからさまな他ジャンルの引用は聞こえない。が、具体的には名前は出せないが、3人の音楽的なバックグラウンドがとても広いということを感じさせてくれる。
 インタビューを読んでみる限り、このアルバムもコンセプチュアルなものらしい。「"Family Record" == "家族の記録"」?なんとなく歌詞から想像するのは、

  • ある男が恋に落ちる("東京")
  • 結婚("アメリカ")
  • 出産("レテビーチ")
  • クリスマス("リマ")
  • (事故)死?("JFK空港")
  • 死後("どこでもないところ")

 あとはよく解らん。これすら意図と違う可能性が多分にあるし。
 コンセプト等は気にせず、純粋にこのアルバムの個人的なオススメを挙げるなら

  1. 旧市街
  2. ベルリン
  3. ストックホルム

 かな。実質、これがPeople In The Boxの第二期の個人的ベスト3にもなってる。
 ひとつ残念だったのが、iTunes Music Storeで買ったので、歌詞カードがない…><音だけではなく、文字情報として入ってきた方がイマジネーションを広げやすいという場合もあるので、あとで歌詞については調べよう。
 また、このアルバムでは、以前よりオーバーダブが増えた気がする。以前CINRA.netのインタビューを読んでいたとき、

―“生物学”からはクラシック的な要素を感じました。実際に波多野さんは現代音楽が好きだったりするので、クラシック的な要素ってピープルにとって非常に重要かと思うのですが、ご自身たちとしてはどう捉えていますか?


波多野:もう筋肉の一部みたいなものなので、あえてそこを出そうと思ったりはしないし、それと同じくらい他の音楽も好きなので、自然に出てくる感じなんですよね。エレクトロニック・ミュージックからの影響も同じくらいあると思うし。


―あくまで色々な音楽性の中の一つだと。


波多野:ホントにそういうのは意識してないんです。僕らのルールっていうのは、自分たちの持ってる楽器だけでやるっていうところなんで。ただ、会話の中で「ここはティンパニー的な感じで」とか「ここは電子音のビーって感じで」とか、実際にできない音色で会話をしたりはするんですけど。


―そのルールはなぜ設けてるんですか?


波多野:取り留めがなくなるからですね(笑)。何でもありになっちゃうじゃないですか? 100人の聖歌隊を呼んだりとか、50人のギタリストでノイズ出したいとか。そこはあえて逆手にとって、限られた道具の中で自由にやるっていうのが楽しいところでもあるし。でもすごく我慢してるんですけどね(笑)。よく「鍵盤入れたいな」とか「ストリングス入れたいな」って思ったりするんですけど、そこはあえて我慢みたいな(笑)。

People In The Box インタビュー - インタビュー : CINRA.NET

 というのを読んでいたので、意外だったな、と。以前からちょっとしたオーバーダブはやってたけど、今回、その色が少し強くなったように思ったので、ピープル的に、どの辺りで線引きをしているかは聞いてみたいところ。

Family Record
Family RecordPeople In The Box

おすすめ平均
stars実験的
stars世界旅行
stars素晴らしい!
starsただただうれしい
starsこの曖昧さが癖になる

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・鍵盤のない、 (Live)

・レントゲン (Live)

・She Hates December (PV)

・"She Hates December"のピアノカバー。これホントに好き。

・旧市街 (PV)